2007年11月18日(日) 日本武道館 【一夜限りの再結成 SIAM SHADE LIVE in 武道館 HEART OF ROCK

それは何の前触れもない突然の復活劇であった。しかし復活劇という言葉にメンバーは異を唱えることだろう。当時のチーフ・マネージャーであった中村新一氏(享年49才)が2007年4月に他界し、その彼にもう一度自分たちの感謝の気持ちを伝えたい、そんな気持ちが今回の一夜限りの再結成へとメンバーを導いたのであろう。

ある日こんなメッセージが彼らメンバーのホームページ上に公開された・・・

2007年4月25日、SIAM SHADEを誰よりも愛し育てた男チーフマネージャー・中村新一氏が他界しました。(享年49歳)
最後まで諦めず病気と戦い抜いた彼の姿を見て残された俺たちに出来る事は、唯一無二の『新一ISM』を継承し心からROCKして生きて行く事だと感じました。そこで、故人の俺たちに対する愛情、ROCKに対する熱い想いに応えるべく、5年前、彼と共に渾身の思いを込めて挑んだ場所 日本武道館で一夜限りSIAM SHADEを再結成しLIVEを行う事を決意しました。
2007年11月18日(日) 日本武道館 最高のステージを、彼に届けたい。これが今の5人の気持ちです。
もう一度、日本武道館で逢いましょう。
2007年7月 SIAM SHADE 栄喜 KAZUMA DAITA NATIN 淳士

そう、一夜限りなのだ。しかしこの再結成が一夜限りではなく、ずっと続くストーリーであることをファンは望んでいるのではないだろうか。今後も続いていくなどという事は期待してはいけないのだ。夢を見に行くようなものなのだ。そう諦めつつも、体の震えがとまらないくらいの期待をして、ライヴ当日九段の坂をゆっくりと歩いていった。

すでにチケットは発売と同時にSOLD OUTとなり当日券は発売されていない。にもかかわらずチケットを得ることが出来なかったファンも大勢押し寄せていた。会場周辺ではその大勢のファン達の笑顔や興奮している話し声などがすさまじい状況で交差し既に臨戦態勢は整っていた。

そして開場された武道館に入って行く。デジャブか?! いつしか見た光景がそこにはあった。アリーナにはロゴマークが描かれたステージが存在していた。そしてぞくぞくとファンが会場内へと入場してくる、あっという間にステージの後ろまでもが埋まってしまった。ぐるっと見渡してみればそこには360度全てに、緊張した面持ちで一点を集中して息を呑む姿があった。

そして17:00を過ぎた頃、今までかかっていたBGMがとまり会場が一瞬暗くなった瞬間!まぶしいばかりの光と共に彼ら5人の姿が・・・。5年ぶりの再結成一曲目は、『NO CONTROL』だ。一曲目にふさわしく壮大なスペクタクルとでも言おうか、イントロではギター・ベース・ドラムのアンサンブルと共にきらびやかな照明やスポットライト、歓声とが全てクロスオーバーしファンはもうタテノリどころではなくジャンプジャンプで武道館が揺れんばかりの光景がそこにはあった。

3曲目には彼らのデビューシングル『RAIN』、5曲目は『Why not?』このイントロではNATINのスラップが聴き所だ。そしてAメロは恒例のKAZUMAのブレイクダンス。KAZUMAのコーラスは唯一無二の人を引きつける天才的なものがある。6曲目『LOVESICK〜You Don't Know〜』からはファンも一緒に歌う光景が徐々に増えていった・・・そして2002年武道館でのラスト・ライブで栄喜が涙した曲『Dear・・・』へとつづいた。DAITAのソロからサビへきたあたりで感極まり泣き崩れるファンも大勢いた。

『曇りのち晴れ』ではDAITAのソロはボリューム奏法から始まりメロディアスなタッピングを完璧にこなし最後はチョーキング/ビブラートでシンプルでありながらハイテクニックなフレーズで楽曲を最高に盛り上げ栄喜のサビへとつないだ。そしてSIAM SHADEでなければ聴けない!出来ない!ギターインスト史に残る壮大な大作!! 『Solomon's seal』。ギターのDAITA、KAZUMA、ドラムの淳士、ベースのNATIN、SIAM SHADEはこのメンバーであったからこそこの曲が存在し、ここまでのモンスターバンドとなり、今や伝説のバンドといわれる由縁なのであろう。

そのあとこれぞSIAM SHADEといえる男のゴリゴリROCK6連発『GET OUT』『NEVER END』『Shoutout』『PRIDE』『PRAYER』『GET A LIFE』へとなだれ込み男樹バンド魂を証明した。

そしてこの日のテーマともいえる本編最後の曲、SIAM SHADEを誰よりも愛し育てた男チーフマネージャー・中村新一氏がもっとも好きだった名曲『Life』。栄喜はこの曲が始まる前、まるで父親に感謝の気持ちを伝えるかのようにあまりうまく言えないもどかしさを持ちながら自分のいままでの後悔や思いを語った。。。

淳士は姿勢をただし、NATIN、KAZUMAは精神統一をしているかのごとく一点をみつめ、彼への誠実な思いや感謝の気持ちがオーラとして現れていた。そしてDAITAはこの曲で使用するギターには、意義ある最高のギターを選んだ。

それはこの日のために自身のノウハウを生かし自らの足で木材から全てを監修してプロデュースした、DAITAのギターキャリアの集大成ともいえるギターブランド【G-Life】のBlueLifeというモデルであった。これは中村氏に自身の成長した姿を報告することでもあり、彼から学んだいっさい妥協しない、あきらめない、信念を貫く生き方をあらわすものであった。

武道館の会場が無限に広がる宇宙であるのであるならば、その鮮やかなブルーはまさに地球でありスポットライトが当たるたびにキラッと光るエッジやボディートップ木目の躍動感のある光景はまさに生命の力さえも感じさせる何かが間違えなくあった。そして曲中盤、感動のソロへと突入、穏やかなスローな始まりからまさにギターが歌っているかのような魂のこもったフレーズは武道館の遥か彼方へ・・・間違えなく彼の魂まで届いたに違いない・・・。

アンコールでは栄喜いわく「俺達の飛び道具」的な曲、『1/3の純情な感情』から『Dreams』へ。2度目のアンコールでは『D.Z.I』『Don't Tell Lies』でフィナーレ。ただ本当のフィナーレはその閉演後に起こった。。。すこし大き目のBGM『LOVE』がかかりメンバーが360度すべてのファンへ挨拶をして奇跡の再結成は終わった・・・。

メンバーが会場を後にした後、会場には再び『Dear・・・』が・・・そう全てのファンが総立ちで歌い、叫び、泣きこの曲が終わるまで席をたつファンはいるはずもなかった。

そうSIAM SHADEとはメンバー5人と全てのファンとのチームであったということを最後に伝えられたのであった。

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